【ステルスマーケティングの法規制】インフルエンサーは気をつけて!

ステルスマーケティング

2023年10月1日から、インターネット上などで広告と明らかにせず口コミや感想を装って宣伝するステルスマーケティング(ステマ)の規制が始まりました。違反した場合は依頼した企業は罰則を受けますし、インフルエンサーも非難の対象となり社会的ダメージを負う可能性があり、注意が必要です。

この記事では、ステルスマーケティングの実態や法規制について詳しく紹介していきます。

ステルスマーケティングとは

美容・ファッション情報の発信をしている皆さんの中には、多くのフォロワーを持つインフルエンサーとして活動している方もいると思います。インフルエンサーなら、一度は企業からの広告依頼を受けたことがあるのではないでしょうか。

その場合、広告であることを隠して投稿することをステルスマーケティングといいます。
ステルスマーケティングは、実際には広告主が依頼したにもかかわらず、個人の感想や口コミを装って商品やサービスを宣伝する手法で、消費者を騙す行為となります。

ステルスマーケティングには、なりすまし型や利益提供秘匿型があります。

なりすまし型

事業者が自ら表示しているにもかかわらず、第三者を装って肯定的 な意見を掲載する。
例:匿名で体験レビューをブログ等に掲載する。

利益提供秘匿型

事業者が第三者に金銭の支払いその他の経済利益を提供して表示させているにもかかわらず、その事実を表示しないもの。
例:有名ブロガーが広告であること(報酬を得ていること)を明示せずに、特定の企業や製品について高い評価を行う。

ステルスマーケティングの実態

消費者庁はステルスマーケティングに関する実態調査を行っています。
現役のインフルエンサー300名に対して、アンケートを実施した結果、41%のインフルエンサーが、ステルスマーケティングの依頼を受けた経験があると回答。
そのうち、約45%のインフルエンサーが、その依頼を受けた経験があると回答しています。

しかもインフルエンサーの94.7%が「ステマを知っている」と回答したにもかかわらず、依頼を受けてしまった理由として、なんと「ステルスマーケティングに対する理解が低かった」という答えが最も高かったのです。

インフルエンサーとしては「提供を受けたことを隠して、良い感想を投稿したら次も商品をもらえるのではないか。」と考えて、暗黙の了解でPRと書かず、ステルスマーケティングを行ってしまうケースもあるそうです。

出典:消費者庁 ステルスマーケティングに関する実態調査
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/assets/representation_cms216_220915_05.pdf)
現役のインフルエンサーに対するアンケート結果
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000364.000011944.html)

ステルスマーケティングの規制

これまで、OECD加盟国(名目GDP上位9か国)において、ステルスマーケティングに対する規制がないのは日本のみ。制度面では日本の消費者のみがステルスマーケティングにさらされている状況でした。

そこで政府は新たにステルスマーケティングを景品表示法が禁じる不当表示に指定しました。ステルスマーケティングの規制は、2023年10月から施行され、違反した場合は措置命令や刑事罰が科されます。

規制の対象となる行為と運用基準

規制の対象となるのは、インターネットやテレビ、新聞などあらゆる媒体で、消費者に広告であることを明示する表示を求めることです。具体的には「広告」「宣伝」「PR」などと明記して広告であることを明確にすることが必要になります。例えばインスタグラムのフィード投稿であれば、コメントの冒頭にこれらの文言を明確に入れます。

また記載があっても文字が周囲の文字より小さい・薄い、大量のハッシュタグに埋もれさせるなどの不明瞭な場合も、ステルスマーケティングとみなされます。その他、不正なレビュー、やらせレビューも規制の対象です。

ステルスマーケティング規制における罰則

違反した場合、消費者庁は再発防止を求める措置命令を出し、広告を依頼した事業者名が公表されます。従わない場合は、懲役刑や罰金が科される可能性があり、法人の場合は最大で3億円の罰金が科せられることがあります。

投稿したインフルエンサーへの法的な処分はありませんが、フォロワーの信頼を失い、社会的な罰を受けることになってしまうでしょう。

ステルスマーケティングの調査手段

消費者庁がステルスマーケティングの規制を担当し、違反行為の監視や調査を行います。消費者庁は広告や口コミ情報を収集し、不当表示やステマの疑いがある場合は調査を行います。

調査手段としては、インターネット上の情報収集やモニタリング、消費者からの情報提供、広告主や関係者への聞き取り調査などがあります。

意識が高いインフルエンサーも多い

違法行為に加担してしまう人が40%もいる一方、現役インフルエンサー300名に行った調査で、ステルスマーケティングの依頼を受けなかったインフルエンサーに理由を聞いた結果、

ステルスマーケティングは悪いことだと思う」と回答した率は56%と約半数で「分からない」が29%でした。悪いことだと思う理由として「(消費者)フォロワーに広告であることを伝えないから」「(消費者)フォロワーの信頼を損なう行為であるから」が70.8%と高く、多くのインフルエンサーはフォロワーとの信頼関係が大切と考えていることが明らかになりました。

引用:現役のインフルエンサーに対するアンケート結果(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000364.000011944.html)

フォロワーとの信頼関係が大切と考えている、意識が高いインフルエンサーも多いことを知ると、ほっとしますね。

【ステルスマーケティングの法規制】インフルエンサーは気をつけて!:まとめ

ステルスマーケティングは消費者を欺く行為。真実の情報を選びたいと願っている消費者にとっては、ステルスマーケティングは信頼を損なうものであり、権利の侵害です。

個人として報酬を受け取る場合は、ビジネスとして認識し、正しい知識を持つ必要があります。ステルスマーケティングの依頼があっても、きっぱりと断るべきです。依頼を受ける場合でも明確にPRであることを伝え、正直な感想を投稿することが消費者のためになります。

また、法規制や税制などにも常に注意を払い、常に情報をアップデートしていきましょう。

記事執筆:株式会社プラスカラーズ / WEBデザイン・マーケティング担当 : 高木