物体色に影響する光の性質【屈折・干渉・回折・散乱】

屈折

光は空気や水を通るときに直進する性質を持っていますが、空気から水、空気からガラスのように、違う物質の境界を通るときには、進行方向を変えます。これを屈折と言います。
光は波長によって屈折する角度が変わるため、様々な波長を含む白色光が入ると、波長に応じて屈折し異なる方向に進みます。プリズムによる分光は、この性質を利用したものです。

干渉

光(電磁波)は波の形であらわすことができ、波の山と山の距離を波長と言いますが、

参照:光とは?電磁波の中で人が感じる波長

複数の波が重ね合わさったとき、波の山と山(または谷と谷)が重なりあい、お互いに波を強めあったり打ち消しあったりすることを、干渉といいます。2つの波が強めあうと明るく見え、打ち消し合うと暗く見えます。

例えば、シャボン玉の表面で虹色がゆらゆらと見えるのは、光の干渉が起きているから。
シャボン玉に太陽光があたると、一部は膜の表面で反射し、一部は膜の内側に進み底面で反射して戻ります。このときに、表面と底面で反射した光が重なり合い干渉を起こし、強くなった波長の光の色が現れます。

シャボン玉に当たる太陽光は、様々な波長が混ざった白色の光ですが、干渉によって強めあった光が特に明るくなって反射されます。シャボン玉の膜の厚さがいろいろな場所で少しずつ違うために、強く見える色が変り、虹色に見えているのです。

干渉現象

回折

光の波が障害物に当たったり小さな穴を通った後に、その先に広がって進んでいくことを回折といいます

回折が現れるのは、障害物やすきまの大きさがその波長と同じ程度の大きさ、もしくは小さい時で、微少な部分に当たって反射した光も回折を起こして広がります。

CDの表目が虹のように見えるのは、表目にたくさんあるピット(小さな凸部)で反射した光が回折を起こします。見る角度によって、干渉する光路差が変わり、強め合う波長も様々に変化するため、虹色に見えるのです。

※光路差=1つの光波が2つに分れて別々の道を進み,その後再び合成されるとき,両波が分れてから合成されるまでのそれぞれの光学距離の差

散乱

光が大気中のちりや水滴などの細かい粒子(気体分子)に当たり、あらゆる方向に散らばることを、散乱といいます。

光は直進する性質があるので、光源を直接見るのでなければ、ちりなどで散乱しないと目で感じることができません。太陽が輝いていても、宇宙が暗闇なのはこのためです。

短波長(青)の光のほうが散乱されやすく、長波長(赤)の光のほうが散乱されにくいので、赤い光のほうが遠くまで進んでいくことができます。

日中は太陽から地上までの距離が短く、大気中の粒子に当たって散乱した短波長の光が広がるため、空が青く見えます。
しかし、夕方になると太陽と地上の距離が長くなり短波長は散乱しきってしまい、散乱されにくい中〜長波長が目に届くことによって、赤やオレンジの夕焼けが見えるのです。

空

「光源色」と「物体色」

ここまでに、「光源色」と「物体色」の関係について、理解できましたでしょうか。

光源色は光源からの光が直接目に届き、目が反応することで見える色。これに対し、物体色は光の波長が物体に当たり、そのうち反射した光だけが目に見える色です。そのため、「光源色」は光そのものの色、「物体色」は物体についている色を見ているように感じるのです。

次回は、色を見るための要素「光源」「物体」に加え、もうひとつの「視覚」について紹介していきたいと思います。

記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版