光の波長の強さを示す【分光分布】

分光分布

「光とは?電磁波の中で人が感じる波長」では、プリズムで光を波長ごとに分ける分光について、解説しました。今回も、もう少し分光について詳しく理解していきましょう。

分光分布とは?

私たちが目にしている光は、太陽光のようにそれぞれの波長がほぼ均等に含まれているものや、高速道路のトンネルに使われているオレンジ色の光のように1部の波長だけが含まれているものなど、様々な波長の光で構成されています。

この様々な光を波長ごとに分けグラフで表したものが「分光分布」です。
分光分布は目の感度が良い400~700(380~780)nmの範囲で表せることがあります。どのような波長の光がどのような強さで含まれているか、光源からの光の成分がグラフから分かります。

日常の光の分光分布

私たちの周りには、太陽の光や蛍光灯など毎日触れている光だけでもかなり多くの種類があります。ここでは白熱電球・蛍光ランプ、そして先ほど紹介した高速道路のトンネルに使われているランプついて、それぞれの分光分布を見ながらそれぞれの光の特徴について解説していきます。

白熱電球

白熱電球は、電気による加熱で発光しています。温かみがあり黄色っぽい光の色で、ダイニングやリビングに使われることが多い照明です。
分光分布を見ると、白熱電球の光は長い波長を持つことがわかりますね。このため人の目には黄色っぽい、あるいは赤っぽい光として感じられます。

白熱電球の分光分布

白熱電球分光分布

蛍光ランプ

蛍光ランプは、紫外線を蛍光体に当てて発光させる照明です。最近では青みがかった昼光色や白っぽい昼白色、白熱電球に近い温かみのある電球色など、様々な色の光の蛍光ランプがあります。

以下の分校分布は、蛍光ランプの中でも昼光色のものです。
昼光色蛍光ランプは、短・中・高波長それぞれの1部だけを多くして作ったもので、これを三波長発光型蛍光ランプといい、最近はこのタイプが多く使われています。
昼光色の分光分布は3つの波長の光のうち、中波長や短波長の光を多く含んでいるために青みがかった光になります。

昼光色蛍光ランプの分光分布

昼光色蛍光ランプ

単色光(例として低圧ナトリウムランプ)

高速道路のトンネルで使われているオレンジ色の光は低圧ナトリウムランプといいますが、以下の分光分布見てわかるように、ほぼある1部分の波長だけしか含んでいません。これを単色光といいます。
昔は低圧ナトリウムランプがほとんどでしたが、最近は明るい昼白色LEDもでてきているようです。

低圧ナトリウムランプの分光分布

低圧ナトリウムランプ分光分布

自然光

人工的な光だけでなく、太陽光などの自然の光にも違いがあります。
太陽光は朝方・日中・夕方と色が変化しますが、これは太陽の動きによって目に届く太陽の波長による違いが出ることによるものです。

太陽光(昼光)の分光分布

太陽光の分光分布

無色の光(白色光)

もうひとつ、可視光線のすべての波長が均等に含まれている、無色の光があります。含まれている波長が均等だと無色の色になります。この無色の光を白色光といいます。
上図昼間の太陽光も、だいたい均等に近い波長なので無色に近いです。

無色の光の分光分布

分光分布:まとめ

光はその中に含まれている光の波長によって異なります。長い波長が多いと赤味を帯びた色に、逆に短い波長が多いと青味を帯びた色になることが、分光分布を見るとよくわかりますね。

この記事で紹介してきた光は一例です。また白熱電球や蛍光ランプも種類やメーカーによって様々な波長の光を含みます。光の色が変わるのは、特定の光の分光分布によるものであり、その光の印象もそれぞれに変わります。

次回は、色の見え方の重要ポイントである色温度と演色性について解説します。

記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版