色とは?いまさら聞けない基礎知識
色は、当たり前のように私達の周りに溢れていますが、ビジネス面でも重要度は大きく、デザイン・ファッション・インテリア・プロダクトなど、配色によってそのデザインやサービスの評価が決まってしまうといっても過言ではありません。配色はセンスだけでなく、色彩理論、色彩科学、配色理論というものが存在します。色彩に関連する仕事をする場合は、色の基礎知識が必要です。
このコラムでは、色の基礎知識からカラーコーディネート等の実践まで、概要を紹介していきます。これから勉強する方は参考書やテキストと合わせて、すでに色彩検定などの資格を取得している方は復習として、参考にしていただければと思います。
なお、このサイトの情報の多くは色彩検定テキストをベースにしていますが、ファッションを中心とした解説である点にご注意ください。
色とは?
色に関連する仕事をする人にとっては基本的な知識ですが、通常は「色とは?」なんて、深く考える人はいないでしょう。しかしこれが後々、色の深い理解に関わってきますので、詳しく説明していきたいと思います。
色とは? 見え方の違い
私達の周りにある色は、どこにあるのでしょう。色は物体についているのでしょうか。
そのヒントは、同じ色でも様々な条件によって違って見えるということ。どなたでも以下のような経験があると思います。
条件1.照明
デパートで洋服を買い、家に帰って出したときに、さっき店で見た色と違った。
条件2.背景
スーパーで、黒いトレーに入った美味しそうな赤身のお刺身を購入し、家で白いお皿に載せたら色が違う気がする。
条件3.大きさ
小さい見本帳を見て、カーテンの色を決めて注文したところ、実際に部屋にかけてみると色が派手すぎてしまった。
条件4.素材
布=まったく同じ色でも、サテンは鮮やかに、麻はシックに見える。
紙=同じ写真をプリントするとき、コート紙に比べ、インクを吸い込むマット紙の場合、色がくすむ。
条件5.モニター(機器)
パソコンで見た写真が綺麗だったのでプリンターで印刷したところ、モニターで見る色とは、かなり違ってしまった。
いくつかピックアップしてみましたが、このように色は様々な条件により変化します。
色とは? 色を見るための要素
普段の生活の中で、昼間は電気をつけなくても、周りにある物の色を見ることができますが、夜になり太陽の光が無くなると暗くなったり見えなくなります。そこで、電気をつけるとまた光があたることで色が見えますよね。
また光だけあっても、そこに物体がないと色をみることができませんし、目を閉じる、すなわち視覚が無くても同様です。
このように、色を見るためには、
- 光=光源
- 物=物体
- 視覚=目と脳
この3つの要素が必要。ここでの視覚とは、目の働きだけでなく、目と脳の連携の働きを指します。
色とは、光・物・視覚の3つの要素があることで見えるもの
色について辞書ではどのような解説になっているか、調べてみました。
朝日新聞社が主体となってとりまとめたインターネット百科事典コトバンクでは、
色は物体や光の属性ではない。色は感覚の一種であり,眼に届いた光が眼や脳で処理された結果として,色という感覚(色覚color vision)が生じる。
グーグル日本語辞書では
光によって目にうつる、物の感じの一つ。物に当たった光のうち、吸収されずに反射したものを人の目が受ける時、波長の違いで赤・黄・青・緑・紫などさまざまの、物の色として感ずる
どちらも、色を感覚として解説していますね。
普段意識することではないので、「物自体に色がついている」という感覚になりがちですが、そうではないことがあらためて認識できたと思います。
次回は、3つの要素の中で、「光」についてお話します。
記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版