PCCSの明度と彩度について
PCCSの明度と彩度
明度
PCCSでは、明度をLightness(ライトネス)※といい、白から黒までのグレイスケールを明度の基準とします。
参照記事:物体色の明るさを表す「明度」
色の明るさのことを「明度」といいます。
最も明るい白の明度を9.5、最も暗い黒の明度を1.5として、その間に等しく変化を感じられる15色を灰色を置いて、9.5から9、8.5、.8.0〜のように0.5きざみで表示します。(または9.5、8.5、7.5〜1.5のように、1きざみで省略して表示される場合もあります。)
明度は、低明度1.5(Bk)〜4.0、中明度4.5〜6.5、高明度7.0〜9.5(W)の3つに分かれます。
彩度
PCCSでは、彩度はSaturation(サチュレーション)※ といい、色の鮮やかさの度合いを示します。
参照記事:色の鮮やかの度合い「彩度」
色の鮮やかさの度合いを彩度と言います。
各色相で最も彩度の高い段階を「9s(saturationの頭文字)」として、これを純色と呼びます。色相の9sと同じ明度の無彩色(2:Rであれば、明度4.5の灰色)を最も彩度の低い段階として、その間に彩度の変化が等しく見えるように色を表示しています。
彩度も、低彩度1s〜3s、中彩度4s〜6s、高彩度7s〜9sの3つに分かれます。
明度と彩度段階
※ ここではPCCSの解説のため、明度をLightness、彩度はSaturationですが、マンセルでは明度をValue(バリュー)、彩度はChroma(クロマ)といい、呼び方が異なります。
PCCS 三属性による色の表記
PCCSで三属性の色の表記が必要な場合は、各属性の間にハイフンをはさみ、色相記号 – 明度 – 彩度の順に並べます。
例えば、純色の赤は 2:R-4.5-9s という表示になります。無彩色の場合は、例えば、n-4.5 のように、明度を表す数字の頭にn(neutralの頭文字)をつけます。
PCCSの等色相面と色立体
同じ色相の明度段階と彩度段階を規則的に配置すると、等色相面になります。
PCCSの純色の彩度はどの色相でも等しく9sになりますが、明度には差があり、黄色は8.0と高明度、青紫は3.5と低明度になります。
明度4.5と彩度9sの位置にあるのが、色相2:Rの純色。彩度の0sが無彩色で、これを含むと10段階になります。
明度の段階について
明度については、理想では黒が0、白が10ですが、理想的な黒とは光を全部吸収してしまう状態、理想的な白というのは光を全部反射してしまう状態であり、物理的に表示することができません。たとえば、PCCSのカラーカード(色票)では、最も明るい白が明度9.5、最も暗い黒が明度1.5になっているように、一般的には黒が1や1.5、白が9.5というように表示しています。
PCCSの色立体を上から見ると、外周は最も彩度の高い純色の色相環になっています。純色の彩度は等しく9sのため、中心の無彩色からの距離は等しいため正円の色相環になります。
色立体を横から見ると、純色の明度が異なるため、色相の変化に合わせ明度が上下し、斜めになった円形の色相環になります。
この色立体を、中心で縦に切断すると、補色関係の等色相面を見ることができます。
次回は、PCCSのヒュートーンシステムについて解説します。
記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版