普遍的な基本の配色イメージ
イメージをつくりだすとき、好みや感覚で配色を決めるのでなく論理的な手法を使うことは、ファッション・インテリアの他、グラフィック・ウェブデザインにおいても、メッセージを伝えるための有効な手段になります。
日本色彩研究所と色彩検定協会では共同で行われた調査結果に基づき、それぞれが相互に異なるイメージを生む言葉として、以下の10語が設定されました。配色イメージ手法の確立については、色彩検定公式テキスト2級編に詳しく紹介されています。
※紹介している配色は、あくまで一つの傾向です。紹介している色相やトーンの範囲と異なる色が含まれていても、全体的にそのイメージが感じられる場合もあります。
エレガント
女性的な・気品のある・優雅な など
パープル系の色相と明清色、および明度の高い中間色の配色は、エレガントなイメージになります。明度を抑えた配色にすると効果的です。
ベースカラー
pトーンやltgトーンを使い、パープル系の類似色相の範囲を使用。
アソートカラー
ベースカラーに対し、1段階鮮やかなトーンを用います。上品な印象を表現するため、コントラストが強すぎないようにします。
アクセントカラー
視線を誘導するような強調色としてのアクセントカラーではなく、ベースカラーとアソートカラーの関係を保ちつつ、曖昧さを回避する役割とします。
カジュアル
明るい・活発な・親しみやすい など
純色から明清色の範囲で、アソートカラーどうし、またはアソートカラーとアクセントカラーの色相や彩度の対比を利用した配色は、カジュアルなイメージになります。

ベースカラー
イメージの全体的な雰囲気を表す橙から黄の中・低彩度の明清色を使います。
アソートカラー
ベースカラーとの色相や彩度の対比を利用して、コントラストをつけます。
アクセントカラー
ベースカラーとアソートカラーとの、色相や彩度が対比する、高彩度の色を使います。
クラシック
伝統的な・重厚な・円熟した など
暗く落ち着いた色調の中に、しっかりとした色をポイントとして組み合わせると、クラシックなイメージになります。ブラウン系の組み合わせに、別の色相をプラスすると効果的な演出ができます。
ベースカラー
低明度、低・中彩度トーンが適しています。色相は、落ち着いた印象のブラウン系を中心に配色します。
アソートカラー
ベースカラーと類似色相、類似トーンにあたるブラウン系を組み合わせます。
アクセントカラー
低明度の緑や青、黒などを使います。dpトーンを使うことで、味わい深い表現ができます。
クリア
明るい・爽やかな・透明感のある など
色相がブルーグリーンやブルーの寒色系を組み合わせると、クリアなイメージになります。明清色の中で明度が高いpトーンとltトーンを中心とし、さらにホワイト系の色を加えると、さわやかなイメージを強調することができます。
ベースカラー
明るさを表現するため、ホワイト系・pトーン・ltトーンを使います。
アソートカラー
ベースカラーにホワイト系を使う場合は明清色、明清色を使う場合はホワイト系を組みあわせると効果的です。
アクセントカラー
視線を誘導する強調色ではなく、アソートカラーと同様の使い方とします。
シック
渋い・大人っぽい・洗練された
グレイッシュなトーンの色に、低・中明度の無彩色を組み合わせると、シックなイメージになります。高彩度でインパクトの強い色は使いません。ブルー系にすると都会的に、ブラウン系にするとクラシックなイメージが付加されます。
ベースカラー
中・低明度の無彩色やgトーンが中心となります。
アソートカラー
中・低明度の無彩色、中・低明度の低彩度色・中彩度色を使いますが、ベースカラーに有彩色を使った場合は無彩色を組み合わせ、ベースカラーに無彩色を使った場合は有彩色を組み合わせます。
アクセントカラー
強すぎない対比がシックなイメージをつくるので、強調色としてでなく、アソートカラーと同様の使い方をします。
ダイナミック
強い・はっきりした・派手な など
色相に対照性のある高彩度色や黒を組み合わせた配色は、ダイナミックなイメージになります。心理四原色とオレンジ系、また高彩度色と組み合わせることで強いコントラストを生む黒を使うと効果的です。
ベースカラー
色どうしが対比的な関係がイメージの基本なので、ベースカラーにも高彩度色や黒を使います。
アソートカラー
ダイナミックなイメージの配色は、主従関係がないため、ベースカラー、アソートカラーの面積を考える必要はありません。
アクセントカラー
すべての色がアクセントカラーとなるため、その役割や面積を考える必要はありません。
ウォームナチュラル
温もりのある・素朴な・穏やかな など
自然の中に多く見られる色(自然環境色)を使った配色は、穏やかで温もりのあるイメージになります。色相はオレンジ系からグリーン系までの範囲を使います。
ベースカラー
オレンジ系のpトーンやltgトーン、中彩度の中間色を使います。
アソートカラー
ベースカラーより色相の範囲を広げ、穏やかな印象の中に自然の彩りを感じる色を使います。
アクセントカラー
アクセントとして強調する色を必要としない配色であるため、アソートカラーと同じ範囲の色を使います。
フレッシュナチュラル
若々しい・新鮮な・爽やかな など
色相がイエローグリーン系・グリーン系を中心に、ブルーグリーン系までを使った配色は、若々しく新鮮なイメージになります。トーンは明清色を主体とし、組み合わせにホワイト系を使うと、イメージが強調されます。
ベースカラー
pトーン・ltトーン・ホワイト系を使い、明るさを表現します。
アソートカラー
ベースカラーと同様の色を使います。ベースカラーにホワイト系を使ったときは明清色を組み合わせ、pトーン・ltトーンを使ったときは、ホワイト系をを組み合わせると効果的です。
アクセントカラー
ウォームナチュラルと同様、アクセントとして強調する色を必要としない配色であるため、アソートカラーと同じ範囲の色を使います。
モダン
現代的・人工的 など
無彩色によるハイコントラストな組み合わせと、青系の有彩色を使った配色は、モダンなイメージになります。多色相を使わず、シンプルな配色とします。
ベースカラー
無彩色によるハイコントラストな配色を作るには、ライトグレイが最も適しています。
アソートカラー
ベースカラーのライトグレイと組み合わせてハイコントラストな配色にするため、グレイや黒がアソートカラーの色域となります。また中・高彩度の寒色系の有彩色を加えると有効です。
アクセントカラー
強調する役割があるので、アソートカラーのバランスを考えた上で決定します。
ロマンチック
かわいい・可憐な・愛らしい など
pトーンやltトーンで赤紫〜赤みの黄までの、低・中彩度で明清色の配色はロマンティックなイメージになります。特にピンクを使用すると、可愛らしさが強調されます。
ベースカラー
pトーンが中心となりますが、アソートカラーによってホワイト系の使用も有効です。
アソートカラー
ベースカラーの類似色相・類似トーンとします。ベースカラーが有彩色の場合、ホワイト系を使用すると効果的です。
アクセントカラー
コントラストが弱いことがイメージの表現につながるので、アクセントカラーとしての使い方は避けて、アソートカラーと同様に考えます。
記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版