隣り合う色が同調する【色同化】

色同化

前回の同時色対比では、色同士を近づけることで、その違いが際立って感じられるということがわかりました。参照:影響しあう色と色【同時対比】

色同化

これに対し、同じく色同士を近づけることで、色と色が同調する現象を色同化(または同化効果)といいます。同時色対比と同様、色同化も明度、色相、彩度の三つの同化に分けることができます。

明度の同化

下図は明度の同化例です。左半分に黒の細い線を入れたグレーの背景は、暗く明度が下がって見えます。
右半分に白の細い線を入れたグレーの背景は、白っぽく明度が上がって見えます。

明度の同化

色相の同化

下図は色相の同化例です。左半分に赤の細い線を入れた黄色の背景は、赤みを帯びて山吹色に見えます。
右半分に緑の細い線を入れた黄色の背景は、緑みを帯びてレモンイエローに見えます。

色相の同化

彩度の同化

下図は彩度の同化例です。左半分に鮮やかな赤の細い線を入れたピンクの背景は、元の色より鮮やかさを増して見えます。右半分にグレーの細い線を入れたピンクの背景は、元の色よりくすんで見えます。

彩度の同化

対比と同化

色同化も同時色対比と同じように、周りの色から影響を受けることで起こりますが、その結果は逆になります。この違いはどこにあるのでしょうか?

下図を見ると、左の模様では、同時色対比によってお互いの色が強調されて見えます。しかし、右に行くにつれて模様の感覚が狭くなると色同化が起こります。
まったく同じ色を使っていても、色の濃さや鮮やかさが減少し、さらに細かくすると色が混ざってみえるようになります。

対比と同化

つまり、図や模様が大きいときに生じやすい現象が同時色対比、繰り返しのある細かい(小さい)図や模様の場合に生じやすい現象が色同化であると言えます。

また、同じ色の図や模様であっても、拡大して近くから見ると対比、離れて全体を見ると同化・混色というように、見え方は変化します。

日常の中の色同化

スーパーなどで赤い色のネットに入れたミカンを見かけますよね。みかんのオレンジは赤いネットの色と同化し、鮮やかな色に見える同化効果をねらったものです。
ファッションでは、例えばチェック柄やメランジュ柄(2色以上の先染めされた色糸を交織した霜降り調の柄)がイメージしやすいと思います。一つ一つの色は主張の強い色でも、同化効果により調和のある色合いにすることができます。

次回は、色の知覚効果について解説していきます。

記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版