ファッションの色彩
これまで、色彩調和を目的にしたシステム【PCCS】を基に、イラストを使いコーディネートの配色を勉強してきましたが、ここからは実際にファッションコーディネートを行う場合の色彩と配色について、解説していきます。
ファッションコーディネート
洋服の組み合わせを中心に、靴・バッグ・アクセサリー・ヘアー・メイクなどを含めたトータルなスタイリングが、ファッションコーディネートです。
各アイテムの、マテリアル(素材のカラー、柄、材質、加工)やデザイン(ウェアのシルエットやデザイン)も、全体の印象に影響を与えます。そのため、ファッションおけるカラーコーディネートは、色の組み合わせだけでなく、スタイリング・マテリアル・デザインの3つの要素を総合的に捉え、色彩の視点から考えるようにします。
ファッションにおける色彩の注意点
素材やデザインのイメージ
実際のファッションコーディネートでは、色彩の持つイメージよりも、素材やデザインのイメージが優先されることがあります。
例えば、赤やオレンジなどの暖色であっても、素材がエナメルの場合は暖色のイメージが薄れクールな印象を与えたり、ブルーなどの寒色であっても、モヘアなどの素材の場合は、冷たさよりも、「暖かそう」という素材のイメージが優先して伝わります。
素材と光の反射
ファッションコーディネートでは素材の影響により、様々な光源化において大きく色が変わって見える場合が多くなります。
例えばエナメルやスパンコールは、光が反射して元の色が飛んてしまう場合があり、毛足があるフェイクファーは、1色なのに陰影が極端に見える場合があるため、まだらに映るなど、素材によって色が異なって見えます。
もちろん、紙媒体やモニターで見る色も光の影響を受けますが、ファッションの場合はさらに素材の影響が大きく加わることになります。
色の同化や混色
コーディネートの配色を少し離れた場所から見ると、色同士を近づけることで色と色が同調する現象である色同化や混色が頻繁に起こります。
色彩学とファッションの色彩
色彩学はカラーカードで色を正確に捉えて学びますが、実際のファッションの色彩はさまざまな光源のもと全体の見た目で色を捉えるので、色彩学の観点で考えると、正確さに欠ける場合もあります。
色はファッションを構成するひとつの要素なので、色彩学で学んだイメージが、そのまま実際のファッションイメージになるとは限りません。コーディネート全体で色を大きく捉え分析して判断しましょう。
記事監修:株式会社プラスカラーズ 代表 岩田亜紀子 / 色彩検定1級カラーコーディネーター
参考文献:色彩検定公式テキスト 2020年改訂版